免税事業者はインボイス制度で消費税が請求できなくなる?
改正の概要
まだまだ流動的で本決まりではないようなんですが(2021年現在)、免税事業者は「適格請求書」を発行できず、これがないと仕入側が支払分の消費税還付(控除対象消費税)を受けられなくなるようです。そうなると、仕入先から排除されてしまうことが当然予想されます。ちょっと、改正の意図が測りかねる部分があって驚きました。
消費税の2重課税が生じるのではないか
「免税事業者」という響きで、なんか得しているような気がしたのかもしれませんが、必ずしもそんなことはありません。免税事業者は、受け取った消費税を納付しなくて済みますが、支払った消費税の還付を受けることもできません。事業が順調であれば、仕入れよりも売上の方が大きいので、多少は得なのかもしれませんが、微々たるものです。
免税事業者が、売上に消費税を載せられなくなれば、従来通り仕入の際に支払った消費税を転嫁することはできなくなります。消費税相当額を本体価額に上乗せするか、消費税を免税事業者が負担するかの二択になる気がします。前者の場合、仕入側と最終消費者で消費税の2重課税が生じます。後者の場合、 最終消費者と免税事業者で消費税の2重課税が生じます。仕入側の方が立場が強そうですから、免税事業者と最終消費者への2重課税が増加するんではないでしょうか。
不利益を回避するには
免税事業者も、任意で課税事業者になることができます。課税事業者になってしまえば、大きな不利益はないような気がします。もちろん、経費のほとんどが人件費で消費税を払ってないような事業の場合、従来の免税事業者は大きく得をしていましたから、影響は大きいかもしれません。ただこれも、簡易課税制度とかもありますので、影響はかなり緩和できるのではないでしょうか。
小規模事業者も課税事業者になれということ
結局、小規模事業者も課税事業者になって、きちんと消費税の計算して申告してください、そうしないと不利益与えますよっていうことなんじゃないでしょうか。消費税の申告書って、今時の会計ソフトだと一瞬で自動作成してくれるんですが、前提として取引の一つ一つをきちんと消費税法を理解して入力しなくてはならないですから、かなりハードルは高い気がします。
きちんとした管理部がある規模の会社でも、消費税をきちんと理解している人は少ないですし、簡易課税の適用検討とかなると顧問税理士がいない小規模事業者はかなりやりづらくなるんじゃないでしょうか。軽減税率を導入する手前必要、というのは分かりますが、そもそも軽減税率を導入する必要性が不明なところが問題だと思います。所得の捕捉が難しい時代に、担税力に応じた課税を実現するために一部で広がったわけで、世界的には廃止される流れにあります。マイナンバーカードがある時代ですから。