債権者保護手続きの債権者の範囲

個別催告で債権者の範囲をどう絞るか

「特定の債権者には個別催告をしなくて良い。」ということはどこにも記されておらず、本来は全ての債権者に個別催告を発送する必要があります。しかし、「では1,000円の債権者にも改まって封書を送るのか。」といった当然の疑問が浮かびます。そこで、目安となるのが法務局の姿勢です。法務局が登記を受け付けてくれれば広く減資や増資、合併等があったものとして扱われます。

僅少な債権者には送らなくても実務上許容される

「もし、債権者から異議申し立てがあったら、担保の提供か即時弁済をしなくてはならないのだから、即時弁済できる金額なら個別催告を省略してよいのだ。」というどこにも根拠がない、しかし広く受け入れられている言い分があります。数万円~十万円以下くらいには個別催告を実施しない例が多く見受けられますが、きちんと登記はできている模様です。

この辺の事情は、書籍に記載されていないためやっかいです。根拠法令やそれに準ずるものがないので、なかなか書けないのでしょう。必要に迫られて、実務慣習の中でできあがってしまったのだと思います。

従業員も債権者?

給与は末締め、翌月払いが多いでしょうか。給与は後払いなので、従業員も立派な債権者です。従業員にも個別催告をしなくてはならないのでしょうか。これは、「即時弁済できる。」というよくわからない理屈で実施していない場合が多いですが、やはり登記はきちんと受け付けてくれます。実際のところは、債務の履行が難しくなったとしても、優先債権として弁済を受けられるわけですから、確かに神経質に保護しなくてもよいような気はします。

税務署や年金事務所は債権者?

既に発生した未払いの税金があったら、地方税務署に個別催告を送ったりするのでしょうか。そして、税務署が異議申し立てをしてきたりするのでしょうか。これも、よくわからない理屈で、個別催告をしていなくても登記を受け付けてくれています。

税務署や社会保険庁への支払いは、債務の履行が難しくなっても優先債権として弁済されますし、場合によっては差押えの停止すらできないという恐ろしい権限が与えられています。さらに、第二納税義務の規定もありますし、あまり保護する必要がないのでしょう。

いつ時点の債権に送ればよいのか

基準日についても、明確な定めがなく、常識の範囲内であれば受け付けてくれます。中小企業の一般的な業務フローであれば、12月末の債権者をきちんと把握できるのは1月中旬~1月末くらいでしょうから、債権者保護手続きの個別通知を1月末に発送するとしたら、12月末を基準日にしてその時点の債権者に対して発送する、という感じです。理論的には、保護手続きを実施する時点での債権者なんでしょうが、大半の企業で把握は困難と言えるでしょう。

全体的に法整備が甘いという印象を持ってしまいますが、きちんと条文通りに全ての債権者に発送すれば間違いないですし、電子公告を使った2重公告も認められている訳なので、上手く活用していくことが大切なんだろうと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。