「節税のために複数の会社を設立」は有効か

2~3社を設立しているケースは多い

法人を複数に分けると、800万円までの交際費損金算入枠や法人税率が800万までは15%という軽減税率を法人ごとに使えるため、節税効果を狙って法人を複数にしている事例を多く見かけます。

デメリットも沢山

しかし、デメリットも沢山あります。税理士費用はもちろん、ソフトウェアの使用料金、広告費用、様々な経費が法人ごとにかかってくる場合があります。そして、人件費も肥大します。契約を締結にするにしても、助成金の申請をするにしても、賃貸契約を結ぶにしても、余計な事務作業が生じます。なんとなく法人数を増やしてしまうと、僅かな節税効果など簡単に吹き飛びます。

最大のデメリットは一方の法人が赤字の場合の税負担

事業が継続的に好調なら良いですが、一方の法人が赤字、もう一方が黒字となった場合は最悪です。全体で赤字であっても、黒字の方の法人には課税がなされます。法人格が別である以上、法人ごとの課税所得の計算がなされるからです。

散見する対処として、架空の業務委託費を計上して所得調整を図る例があります。多くの場合、実態がまったく伴っておらず税務調査で否認の対象となる、不合理な対応です。また、実態があったとしても、当然実態に即した金額を継続的に請求しなくてはなりません。

組織再編で解決

連結納税で対処しようとする場合も有りますが、800万までの損金算入枠等が1つになってしまい、結局何を目的にしていたのか分からなくなってしまいます。また、連結納税は地方税には適用されません。結論としては、1つの法人で運営した方がメリットが大きい場合がほとんどです。

既に複数の法人に分かれてしまっている場合、適格合併を使用して法人まとめてしまうことをお勧めしています。グループ間の合併であれば、それほど手間ではありませんし、リスクもありません。

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