経理は「経営管理」の略

会社業績を左右する影響が有る

決して珍しくないのが、財務報告が軽視されている企業です。経理部が納税のための資料作りの部署と化しており、スタッフの方々も自身の仕事を納税や社会保険の手続きだと思っている例です。経理とは、「経営管理」の略で、経理部は経営管理のための資料を作成し、それをもって利害関係者に財務報告が本来おこなわれる訳ですが、財務報告機能が存在すらしていないことも珍しくありません。

これらは必ずしも問題があるというものでもないと思います。きちんとした財務報告体制を構築・維持するのはコストがかかります。反面、会社規模がそれほどでもなければ経営者の方が感覚で舵取りをすることも可能です。コスト・ベネフィットの観点から合理性があるのです。

しかし、概ね従業員数が200名を超える規模になってきたら、徐々に財務報告体制を整える方が良いと感じています。相応の規模になると経営者が組織全体と接触して感覚的に状況を把握することは困難になります。数字によって経営判断をするしかない規模に至っているのに財務報告体制を構築していないのは、目隠しをして歩行するようなものです。必ずどこかで転びます。

数多い失敗例

部門別での損益管理を導入しており、内部仕入を計上しておらず仕入れコストがゼロとの前提で損益を算出し、大幅な黒字になっていたため従業員にインセンティブ賞与を支払い、現状維持を推奨していた例がありました。何年もたってから、専門家の会計コンサルティングを入れ、実態は赤字であったことが判明しました。

いくら優秀な経営者でも、意思決定の判断基準となる財務報告が誤っていれば経営意思決定を誤るのは当然です。もし、まだ小規模な会社で、経営者が頻繁に現場に顔を出していれば、「この状況で大幅な黒字は不自然だ。」と感じたかもしれません。しかし、規模拡大により権限の委譲がなされてくると財務報告により業績把握をするしかありません。財務報告を軽視したために大きな失敗をした例です。

他にも固定資産の特別償却による失敗という事例もありました。固定資産の導入にあたり、補助金を受領できたため直接法により固定資産の帳簿価額から補助金相当額を減額してしまいました。さらに特別償却が認められていました。減価償却費は大幅に減少し、大きな黒字となったため、同種のプロジェクトを複数開始しましたが、今度は補助金を受け取ることは出来ませんでした。

直接法により処理されていたため、補助金を受領したこと自体、経営者の方は把握できておりませんでした。補助金によって減価償却が減少していることも気づかず、後発のプロジェクトは軒並み赤字となりました。この時点で、会計コンサルティングを依頼し、初めて財務報告の不適切処理が判明いたしました。

経理と税務の混同

これらの失敗例は、多くが経理部が納税をすることが自身の仕事であると錯覚していたことに起因します。税金の計算は、最終的な課税所得さえ誤っていなければ実務上問題がないため、内訳や損益計算書にどう表現するかはあまり問題となりません。しかし、経営意思決定においてはそこが要となるのです。

本来の在り方は、経理部はきちんとした財務報告を実施し、作成された会計帳簿を税理士法人、税理士が別表調整し法人税等申告書を作成します。小規模事業者では、経理部が税理士等と一体となって納税額の算出を行うことが職務になってしまいがちですが、どこかのタイミングで経理部による財務報告体制を整え、両者の役割をある種分離させる必要があるのです。

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