ホールディングス制採用のメリット・デメリット

財務報告体制への寄与は大きい

事業ごとに損益を把握できなければ経営意思決定はできません。そこで、多くの会社が導入するのが部門別損益管理です。しかし、部門間で内部取引を適切に計上しなければならず、共通費の発生、資産負債項目の区分等、限界があります。部門で明確に損益を把握しようとすると、見識の高い専門家が、口座開設等の立ち上げ段階から介入しなければ難しいのが現実です。多くの場合、部門別損益計算書は実態と乖離した数値になっており、部門別に貸借対照表は作成されておりません。

これらをクリアしたとしても、課税は法人単位でなされますので、可処分所得への貢献を計測したり、資金繰りの権限を部門に委譲するようなことは困難です。ホールディングス制を採用して、法的に組織を分割すると、明確に区分損益が把握できます。特にコストセンターがプロフィットセンターとして管理できるようになるメリットは大きく、業績改善の足掛かりとなります。

事業リスクの分散

仮に新たに設立した子会社の事業が失敗しても、連帯保証等を付さない限り、債権の請求権は対象の子会社にしか及びません。ブランド価値の毀損は否めませんが、グループ会社が支援せず破産処理等に進むことも選択肢として残ります。法人譲渡が行われることも多くあります。

1つの法人として事業活動を行っていた場合には、当然ながらこうは行きません。ホールディングス制はリスクを分散させる効果があり、大きなメリットと言えます。

簡易課税制度による消費税の節税

ホールディングス制を採用すると、コストがほぼ人件費しか発生しない法人が出てくることが多々あります。経営機能のみを親会社に残す純粋持株会社とした場合や、経理等のバックオフィス業務を子会社として独立させた場合です。このような場合、簡易課税制度を選択適用することで消費税を節税出来ることがあります。

金額としては大きなものにはなりませんが、小規模事業者にとっては大きな恩恵となることがあります。

軽減税率等の枠が法人ごとに使える

所得800万までの軽減税率や、800万円までの交際費の損金算入制度は法人ごとに適用されます。従って、法人の所得状況によっては法人税の節税を図れる場合があります。

法人維持コストは高くなる

ソフトウェアの使用料等、法人単位で料金が設定されているサービスは多くあります。このようなコスト増の要因もあり、メリットと比較考慮して判断していくことが大切です。

株式分割や株式移転で

組織再編手続きによりホールディングス制への移行ができます。他にも、部門ごとに給与体系を定めると同一法人内ということで従業員から不満が出ていたのが、ホールディングス制への移行により解決したという例もあります。事業活動における法人の在り方は、多角的な観点から計画的に考察する必要があります。

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