TKCからの会計データ移行

特殊すぎるTKC

今時の会計ソフトはコンバータが付いており、割と大雑把にデータを加工して放り込んだとしても、コンバータが自動変換や候補を挙げてくれる等して、スムーズに引っ越しが完了します。コンバータが付いていないとCSVファイルできっちりと加工しなくてはなりませんが、特段難しいことはありません。その中で唯一苦労したのがTKCからの引っ越しでした。

税理士からのレンタル

まず、TKCの会計ソフトは税理士からのレンタルという契約になっています。TKCに入会した税理士が貸し出すことができ、エンドユーザーはTKCのソフトウェアを購入することができません(多分)。そして、オーナーである税理士にしかない管理メニューが多くあり、経理を内製化するには適していないと感じました。あくまでも、税理士が指導しながら主導するという業務フローを想定した作りになっています。相応の会社規模になると、税務も含めて内製化されてくることは珍しくありませんので、この辺の仕様をどう判断するかは難しいところです。

特殊なデータベース構造

大抵の会計ソフトは、仕訳の借方、貸方双方が消費税区分に係るデータを保有しております。しかし、TKCは一つの仕訳で消費税区分に係るデータを一つしか保有していないのです。普通にリレーショナルデータベースにすればいいのに、と思うのですが不思議でなりません。

そのため、10%課税取引と軽減税率8%課税取引を一つの仕訳に内包することができません。一般的な、借方普通預金(対象外)、貸方売上(10%課売)という仕訳は可能です。どうなっているのかと言うと、仕訳の消費税区分には 「10%課売」という情報を付すのですが、同時に普通預金は勘定科目により「対象外」と判断されるのです。さらに、もう一つ特殊な点があり、補助元帳の他に「取引先」というデータを保有しているのです。

どうやってデータコンバートするか

恐らくこういう風なアルゴリズムなんだろうなぁ、という憶測の下、その通りにデータを加工していきました。すなわち、明らかに対象外区分となる勘定科目をリスト化し、それらのリストに該当する場合には消費税区分を対象外にし、該当しない場合には仕訳に付された消費税区分を読み込んでいく、という処理です。

取引先データの特殊性

補助データ以外に、取引先データを保有していること自体は決して珍しくありません。例えば、地代家賃だと物件ごとに補助を付しますが、大家さんごとに見たい場合もあります。取引先データも保有していると、経営分析の際にとても役に立ちます。しかし、普通は補助ごとに閲覧、取引先ごとに閲覧と切り替えができるという、単純明快な構造になっております。

TKCはこの点も特殊でした。総勘定元帳を閲覧すると、補助データのみ保有していると補助ごとに表示され、取引先データのみ保有していると取引先ごとに表示され、切り替えは出来ませんでした(できるのかもしれません)。では、両方のデータを保有しているとどうなのか、と言う話ですが補助ごとに表示されました。恐らくは、補助優先表示ということなのかな、と思いました。

いずれにしても、一般的なデータベースの常識を無視した構造になっており、様々な点で取り扱いが困難な面がありました。ただ、純粋にTKCで記帳している分にはそこまで不自由さを感じさせないので、ひょっとして乗り換え防止のためにわざとこんなアルゴリズムに、と思いましたがまさかそんなことはないはずです。

なんとか成功するもどうにもならない点も

上記の方法でなんとかきれいに会計データを移行することができました。しかし、どうにもならない部分もありました。例えば、土地の増加に付随費用として課税仕入れが含まれている場合です。この時、TKCの考え方では「土地」という勘定科目に着目して非課税取引になるのですが、手動で一部を(TKC上で)課税仕入れにすることもできます。この、一部を課税仕入れに修正したという形跡が、エクスポートデータのどこにも見受けられないのです。

この辺はいくらにらめっこしても分からなかったので、手動で直しました。大した量でもなかったので大丈夫でしたが、誰か知っていれば教えていただきたいです。

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