電子公告で必要な電子公告調査
債権者保護手続きにおける電子公告の利用
電子公告で注意しなくてはならないのは、様々な文献は官報+個別催告を前提に記載しており、特に少し古い書籍だとこの傾向が顕著になります。すると、電子公告を利用している場合必要な手続きが漏れがちになります、代表的なものが電子公告調査です。
電磁的方法を利用すべきか
本来、株式会社は多数の株主から出資を募ることを想定しており、会社法に基づき年に1度貸借対照表を開示しなくてはなりません。官報に載せるのですが、電磁的方法によることもできます。具体的には、ホームページの載せる方法です。
官報は掲載料が非常に高いですが、ホームページを自身で管理している場合、電磁的方法はコストがかかりません。よって、一見すると電磁的方法が安上がりな気がします。しかし、電磁的方法は様々な場面において電子公告調査機関の調査が必要になることがありますが(決算公告では不要)、官報に劣らず高いので、決算公告以外の手続が多い場合は官報の方が安くなることもあります。
電子公告調査機関への申込を忘れるとどうなるのか
例えば、公告方法を電磁的方法にしていていて、債権者保護手続きを官報+電子公告で行く場合、電子公告調査機関の調査が必要です。本当にホームページに掲載していたかの客観的な証明が必要ですから分からなくはありません。
もし、電子公告調査を受けていなかったとしても、債権者保護手続きを実施したことには変わりがありませんので、合併等の効力そのものは失われないと考えられます。よって、法務局は電子公告調査機関の証明書がなくても登記申請を受理すべきなのですが、この辺は現場の裁量で対応が変わってくる印象です。
それでも電子公告を勧めます
個別催告の手間は多大です。条文通りに解釈すると、全ての債権者に封書を送らなくてはなりません。前提として債権者リストの整理も必要です。これらを考えると、電磁的方法にしておいた方がトータルで見ると手間が少ないと個人的には思います。