グループ法人税制による繰延損益の持込と繰越欠損金
100%グループ間での損益繰延
簿価が1000万以上の固定資産等を100%グループ間で譲渡し損益が発生すると、法人税法上損益が繰延べられることは良く知られています。所得調整を防止する措置なのだと思います。
繰延べられたまま適格合併したらどうなるのか
売却益が生じ、繰り延べられたまま適格合併したらどうなるのでしょうか。実は、適格合併をしても実現せず繰り延べられたままです。つまり、繰越欠損金を有する法人に含み益を持ち込んで実現させることにより相殺できてしまうのです(防止規定が何もなければ)。
繰越欠損金の使用に制限がかかる
従って、繰越欠損金の使用に制限がかかる規定があります。5年の保有条件等の一定の要件を満たしていればグループ間で繰越欠損金の継承はできるのですが、当該規定がなければ、本来継承できない法人でも継承したのと同じようなことが出来てしまいます。
意図せず生じうる点に要注意
コンフリクトを防止するため、一度買収した企業の法人格をそのまま残して子会社にし、後に合併して統合を図るというのは決して珍しくありません。ごくごく普通の合理的な経済取引の中でも、上記に抵触して繰越欠損金に制限がかかってしまうことは十分にあり得ます。
企業にとって税金は大きいですから、手痛い打撃となってしまいます。非常に稀な例ですが、注意を払うべき論点だと思います