収益認識基準における原価比例法
従来の問題点
工事進行基準において進捗度を見積もる場合においてよく使用されていた原価比例法ですが、進捗度の見積方法としては欠点がありました。総原価の見積が1,000で、内高価な材料等の取得費用が600を占めていたとします。この材料費を支出したら一気に600の原価が発生し、進捗度が60%まで進んでしまうのです。
実際の工事の進捗状況まったく反映できておりません。
収益認識基準での改正は
支出したコストが、履行義務の充足に係る進捗度に寄与しない場合は修正をする必要があることになりました。上記の例ですと、高価な材料等の取得費用600を控除して考え、総原価を1,000-600=400とします。そして、工事進捗度を測定するための原価の集計範囲からも当該材料等の取得費用を除き、進捗度を測定します。
100/400=進捗度25%
200/400=進捗度50%
400/400=進捗度100%
収益認識基準の改正意図
収益認識に係る包括的な規定がなかったため、細かいところで比較可能性が損なわれていたというのは確かにあると思います。販売促進費として処理することもできるし、売上からの控除もできる、となってしまうと企業間の比較が困難です。
ただ、適用範囲を上場企業や大会社に限定したところはかえって煩雑なことになると個人的には感じております。税務調査しか受けない中小・中堅企業は現実として自由に決算書を作成していますので、あえて規制対象から除外する必要性があったかは疑問の残るところであります。