収益認識基準と消費税法
消費税法は収益認識基準に対応して改正されていない
法人税法については、収益認識基準の導入に即して改正がなされており、別表調整が必要にならないよう配慮がなされております。そこで、消費税法はどうなるのか、という当然の疑問がわきますが、実は消費税法の方は改正がなされておりません。
家電量販店がポイントを付与する場合、従来はポイント分を販売促進費等として処理することも可能でしたが、収益認識基準に基づくと売上をポイント分と分割しなくてはなりません。このような場合、消費税法上の処理が問題となります。
消費税法上の仕訳が分離する
10,000円(税抜)を売上、1,000円(10%)のポイントを付与したら、収益認識基準に基づけば以下の処理になります。
現金 11,000円 / 売上 9,090円 (ポイント付与時)
負債 910円
仮受消費税 1,000円
負債 910円 / 売上 910円 (ポイント使用時)
法人税法上も上記と同様の処理が容認されますが、消費税法は従来通りなので容認されません。消費税法上の仕訳は以下の通りです。
現金 11,000円 / 売上 10,000円 (ポイントを付与時)
仮受消費税 1,000円
売上の返還 1,000円 / 売上 1,000円 (ポイント使用時)
会計ソフトへの仕訳入力はどうするのか
現金(対象外) 11,000円 / 売上(課税売上10%) 10,000円 (ポイント付与時)
仮受消費税 1,000円
売上(対象外) 10,000円 / 売上(対象外) 9,090円
負債(対象外) 910円
負債(対象外) 910円 / 売上(対象外) 910円 (ポイント使用時)
「簿記が分からなくても会計入力ができる」は絵空事に
会計ソフトの補助機能により、簿記が分からなくても会計入力ができると謳われることは珍しくなくなりました。しかし、上記の入力例を俯瞰すると、とてもじゃありませんが不可能に思えてしまいます。
システム面のアップグレードと、租税法の簡素化を是非お願いしたいと感じます。